トラックバックについて考えてみた
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
「でも、そのオーデュボンもまさか、鳩が絶滅するとは思わなかったんだろ。そいつも無知で馬鹿な男の一人だったんだろ?」
「だとしても、オーデュボンは願っていたんだ」 (本文より)
正反対のことしか喋らない元画家、裁きのために人を殺すことを許された男、そして未来を予知し人語を喋ることのできるカカシ。外界から遮断された島にはそんな不思議な人間ばかりが(一部人間ですらないが)住んでいた。そしてある日、そのカカシが殺される。未来が見えるはずのカカシは、なぜ自分の死を回避できなかったのか?
「アヒルと鴨のコインロッカー」(この作品もお勧め♪)の映画化で話題の伊坂幸太郎のデビュー作。上記のような非常にファンタジー的な設定ありながら、極めて良質なミステリーでもある。しかも、その突飛な設定も、それぞれの裏にはドラマがあり、その設定なくしてこのストーリーはありえないというくらい物語にマッチしている。また、登場人物の交わす会話がウィットに富んでいて、実に心地よい。一気に引き込まれてしまった。
表題にもなっているオーデュボンとリョコウバトのエピソードは、実に切なく、胸に響くエピソードだ。勉強不足で私は知らなかったのだが、リョコウバトは今でこそ絶滅してしまっているが、かつては20億羽という巨大な群れで空を飛行していた鳥らしい。「パトスキーの虐殺」「僕たちの仲間の罪」「繰り返される僕たちの失敗」。私は特別自然保護主義者ではないけれども、それでもこの短い単語に胸を打たれるものがある。
また、この作品には、「この島に欠けているものが一つだけある。外からこの島に来る人間(つまり主人公)がその欠けているものを持ってくる」という伝説があり、それは何かという謎がメインの謎と平行して存在している。その答え自体もなかなか気の利いたものであったが、何よりもその伏線の張り方が上手い! 正直感心してしまった。なるほど、あの何気ない台詞をこんな風にリンクさせるかと。小説には伏線は必須なものだが、ここまでうまくはまっていたものは、なかなかお目にかかれない。
この作品は最初に読んだ伊坂作品であるが、この本以降、立て続けにこの作者の本を読み漁ることになる。機会があればまた個別に紹介していきたいと思うが、この作者の作風の幅の広さには本当に感心してしまう。一作一作が全く異なる色合いを持っていて、またそのそれぞれの完成度が高いというのだから……。もう一つこの作者の作品で特徴的なのは、各作品の登場人物なりエピソードが、他の作品にリンクしているという点。もちろん、続編だったりしているわけではなく、それぞれ個別に完結している点ではあるのだが、チョイ役とかで登場していたりして、様々な物語があるけれどもそれらは一つの世界の中という趣向。ちょっとしたおまけみたいなものだが、そうしたものを探してみると、他の作品を読む楽しみが増えるかもしれない。それにしても、こんなファンタジックな設定の物語ですら、他のリアルな世界の物語とリンクさせてしまうあたりはさすがです。
![]() |
オーデュボンの祈り 伊坂 幸太郎 新潮社 2003-11 by G-Tools |
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント